時給1500円は個人店では無理?
先の選挙でも話題になったのが、時給1,500円達成の話でした。
確かに働く側には、物価高騰が続く中でありがたい話ですが、払う雇用主としては厳しい話です。
物価高騰で原材料が上がる中で、人件費も上がる訳ですからね。
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人件費が上がれば利益が圧迫するので、その分売上を伸ばす必要があります。
ではどれくらい売り上げを伸ばす必要があるのでしょうか?
時給1500円になった場合のシミュレーション
時給1500円が飲食店の人件費に与える影響をざっくり計算するために、以下の仮定をおきます。
仮定条件
- 1日の営業時間:10時間
- スタッフの人数:平日3人、週末5人(平均して1日4人働くと仮定)
- 月間営業日数:25日
- 現在の時給:1000円
- 利益率:売上に対する利益率が10%
計算のステップ
現行の人件費
- 時給1000円の場合
- 1時間あたりの人件費:1000円 × 4人 = 4000円
- 1日あたりの人件費:4000円 × 10時間 = 4万円
- 月間人件費:4万円 × 25日 = 100万円
時給1500円の場合
- 時給1500円の場合
- 1時間あたりの人件費:1500円 × 4人 = 6000円
- 1日あたりの人件費:6000円 × 10時間 = 6万円
- 月間人件費:6万円 × 25日 = 150万円
増加分の人件費
- 月間増加額:150万円 – 100万円 = 50万円
売上への影響
- 50万円をカバーするために必要な売上増加額を計算します。
- 利益率10%の場合、1円の純利益を得るには10円の売上が必要。
- 必要売上増加額:50万円 ÷ 10% = 500万円
結果
- 時給が1500円になると、月間50万円の人件費増加となり、これをカバーするためには月間売上を500万円増やす必要があります。
※地域や店舗規模により違いますので、あくまでも参考としてください。
人件費の高騰への対策はあるのか?
時給1500円という人件費の高騰は個人経営の飲食店にとって大きな負担になります。
先のシミュレーションで考えても月間売上500万円上げるの事は容易な事では事ではありません。
売上が難しいなら経費を削減するしかありません。
オペレーションの効率化
目的:労働時間の削減と生産性の向上
- メニューの簡素化
調理や提供に時間がかかるメニューを減らし、利益率の高いメニューを中心に構成。 - セルフサービス導入
注文や水の提供など、セルフ化できる部分を増やすことでスタッフの負担を軽減。 - キッチンの動線改善
調理や配膳の効率を上げるため、厨房設備の配置や作業フローを見直す。
技術の活用
目的:人件費削減と顧客満足度向上
- デジタル注文システム
QRコードやタブレットで注文を受けることでホールスタッフの負担を軽減。 - 自動化機器の導入
自動盛り付け機、食洗機、ロボットによる配膳など。初期費用はかかるが長期的には有効。
営業時間と人員配置の最適化
目的:労働コストの適正化
- ピークタイムの集中営業
売上が見込める時間帯に絞って営業し、閑散時間は閉店またはスタッフ数を最小化。 - 短時間パートの活用
学生や主婦など、短時間で働ける人を活用することで負担を分散。
客単価の向上
目的:売上の増加で人件費をカバー
- セットメニューや期間限定商品
客単価を上げるため、魅力的なセットメニューを作成。 - プチ贅沢ニーズの取り込み
高品質な食材を使った少し高価なメニューを導入。
スタッフ育成とモチベーション向上
目的:離職率の低下と生産性向上
- クロストレーニング
スタッフが複数の役割をこなせるようにすることで、少人数でも回せる体制を構築。 - インセンティブ制度
売上や来客数に応じた成果報酬を取り入れることでモチベーションを向上。
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時給1500円の状況下でも、効率化・技術導入・客単価向上を組み合わせることで、経営を安定させる道を模索するしかありません。
効率化するにも初期投資や維持費がかかります。
個人が飲食店を行うには小さく行う(店主のみ、もしくは夫婦で営む)方法か、大きな店舗や複数店運営して兎に角売り上げを大きくする方法が迫られるのではないでしょうか。
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