大手と個人では全く違う
個人店を開業しようと幾つかの飲食店で勉強している時にある店舗の責任者に言われた言葉で忘れられないものがあります。
「飲食店と言っても大手の飲食店チェーンと個人店とは全く違うものです。野球に例えるなら、全国チェーンのような飲食店は大リーグの野球、中小規模であればプロ野球、そして個人店は草野球です。どれも同じ野球でも全然違いますよね。」
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言われた時は、正直この意味が理解できませんでした。
ですが、四苦八苦しながら開業準備やオープン後に痛いほど実感しました。
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自分が会社の名前に守られていた事を痛感させられました。
誰もが知っている会社名でしたので、伝えれば事済んだことが、個人では先ず信用してもらえません。
裏付けになる資金力もありません。
それでも個人的に付き合いのあった業者さんは相変わらず相手をして頂き有難かったです。
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会社のような組織であれば新店オープンするにもその仕事は細分化されてます。
店舗運営の責任者であっても、物件探しや交渉、施工業者の手配やスケジュール管理は個々の部署が行ってくれます。
資材の確保、POP等も手配するだけで担当部署が用意してくれます。
店舗の運営に関わる事に専念できます。
勿論、店舗運営だけでも非常に大変ですから、休みなしで朝から夜遅くまで働いてましたが。
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個人ですと先ず物件探しで躓きます。
個人の飲食店物件を探すのは非常に大変です。
この時点で止めてしまう方も多くいるでしょう。
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開店当日においても大手であれば、大勢の人が押し寄せるのでその対応準備に追われます。
ですが、個人店では集客に苦戦します。
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大手飲食店出身が開業した時に会社名のブランドの凄さを痛感させられるものです。
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独立して失敗する原因
大手飲食店出身者が独立して飲食店を開業する際に失敗する原因は、大手飲食店での経験がそのまま独立後に通用しない事です。
経営全般のスキル不足
大手飲食店では、従業員は通常、自身の担当業務に特化しています。
しかし、独立後は経営全般を担う必要がありスキルが不足しがちです。
- 財務管理:収支計算や資金繰りの知識不足。
- マーケティング:集客戦略の立案や実行が甘い。
- 原価管理:大手では既存の仕組みに頼れるが、独立後は自己管理が求められる。
ブランド力への依存
大手では、既に確立されたブランドが顧客を呼び込みますが、独立後はゼロからブランドを構築する必要があります。このギャップを埋めることができない場合、集客に失敗します。
資金計画の甘さ
独立には十分な初期資金が必要です。
- 自己資金不足や資金繰りのミスが原因で、オープン後の運営に支障をきたすケースがあります。
- 資金面の準備不足により、広告や内装に費用をかけ過ぎ、運転資金が不足することも多いです。
メニュー開発の失敗
大手では与えられたレシピを忠実に再現するのが役割ですが、独立後は自らメニューを考案する必要があります。
- 地域性や顧客層を考慮しないメニュー構成。
- 原価率が高すぎて利益が出ないメニューの導入。
従業員管理の課題
大手の仕組み化された人事制度や研修に慣れていると、小規模店舗での人材確保や教育が難しく感じることがあります。
- スタッフの教育不足。
- 離職率の高さによる店舗運営の不安定化。
競合分析の不足
独立後の競争環境は、大手チェーンとは異なる場合が多いです。
個人店はネームバリューでは勝負できません。
- 周囲の競合店や地域の飲食需要を調査せずに出店することで、顧客を獲得できない場合があります。
大手のやり方をそのまま適用しようとする
大手の経営手法や店舗運営の方法をそのまま小規模店舗に導入しようとすると、コストやオペレーションが合わず、失敗することがあります。
成功するには
- 経営の基本を学ぶ:中小規模の店舗運営に特化した知識を得る。
- 市場調査と顧客分析:地域のニーズに合った店舗を作る。
- 柔軟な経営方針:状況に応じた迅速な対応ができる体制を整える。
勿論、大手飲食店での経験は活かされる事も多々あります。
ただ、冒頭の言葉通り今まで大リーグやプロ野球の野球の仕方を学んできた事が、そのまま草野球には通用しない事を開業前に理解して準備する必要があります。
もし理解の段階で無理だと思うのであれば、開業しないと言った選択もあるでしょう。
また、ブランドの力を活かした経営を考えるならフランチャイズ経営も一つです。
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個人店での魅力は大きいです。
全て自分の決断で自由に決められます。
会社の従業員であれば上席の採決が必要あったり、フランチャイズ経営のような縛りもありません。
但し、その分リスクもあり、軌道に乗るまでの垣根は高いです。
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自分に合った選択を取るのが良いでしょう。
なぜならその結果、得られる利益も損失も全て自分が受け止めなくてはならないからです。
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