飲食店の後継ぎ
帝国データバンクの調査によると、飲食店を含むサービス業の後継者不在率は約6割と高い水準にあり、飲食店においても親族内承継が減少し、後継者不足が深刻な問題となっていることが伺えます。
家業を継ぐかは飲食店に関わらず、個人の事情や考えがあるので一概には言えません。
ですが、飲食店経営が難易度が高い事は経営者自身が十分理解されており、「子供に引き継げたいか」と問われてもは簡単に答えられないものではないでしょう。
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時代の移り変わりも早いですので、親の世代が体験したことが今では通用しない事も多々あります。
地域の人口や構成も最近の20~30年で様変わりしている地域も少なくありません。
例え引き継いでも親と同じ経営スタイルでは安定した売り上げ確保が難しいのではないでしょうか。
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子供に後を継がせない理由
個人飲食店経営者が子供に後を継がせない理由には、以下のような現実的な要因や感情的な側面が関係しています。
経営環境の厳しさ
利益率が低い
- 飲食業は固定費(家賃、人件費、光熱費)が高く、利益率が他の業界と比べて低いため、安定した収益を得るのが難しいと感じている経営者が多いです。
- 個人経営は競合店やチェーン店に押されやすく、リスクが高い業種です。
労働時間の長さ
- 長時間労働が常態化し、家族やプライベートの時間を犠牲にすることが多いことから、子供にはこのような働き方をさせたくないという親心が働く場合があります。
業務の負担
- 仕込み、調理、接客、清掃、在庫管理など、幅広い業務を1人または少人数でこなさなければならず、体力的・精神的に消耗しやすい。
社会的な選択肢の増加
子供の進路の多様化
- 現代では、子供が選べる職業やキャリアパスが多様化しており、飲食業以外に魅力的な選択肢が豊富です。
- 親も子供の可能性を広げたいと考え、特定の業界に縛られることを望まないことがあります。
飲食業の魅力の低下
- コロナ禍などの影響で飲食業の不安定さが浮き彫りになり、将来性に対してネガティブな見方をする親が増えています。
世代間の価値観の違い
経営への情熱の違い
- 経営者本人が自分の店に強い思い入れを持っていても、子供が同じ情熱を感じない場合、継がせることが難しいと判断するケースがあります。
ライフスタイルの違い
- 子供世代は、より自由な働き方やワークライフバランスを重視する傾向があります。飲食業のように拘束時間が長く、不規則な働き方は敬遠されやすいです。
家業としての魅力の低下
事業規模の限界
- 個人経営の飲食店は規模が小さく、成長の余地が限られているため、子供が魅力を感じない場合があります。
競争の激化
- チェーン店やデリバリーサービスの拡大により、個人店の競争力が低下し、将来性を感じられない。
感情的な要因
親としての思い
- 「自分が苦労してきたからこそ、子供にはもっと楽な道を歩んでほしい」という親心。
- 飲食業での苦労を知っているからこそ、子供が違う業界で成功してほしいと考える。
家族関係の複雑さ
- 家業を継ぐことによる家族間の対立や圧力を避けたいという配慮。
継がせることの難しさ
事業承継のコスト
- 法律や税務の問題で、スムーズに事業を継承するには専門的な知識や資金が必要。これが継ぐことへのハードルを上げています。
店の競争力維持
- 子供に継がせた場合、今の水準を維持できるのか不安を抱える経営者もいます。
結論
個人飲食店の経営者が子供に後を継がせない理由は、経営環境の厳しさ、子供の価値観や選択肢の多様化、親としての配慮など、さまざまな要因が絡み合っているようです。
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