物価高騰・賃金伸び悩みの中で、個人飲食店はどのような戦略で値上げを行うべきか?

飲食店の値上げは必要か

最近話題のお米の高騰に見られるように原材料の高騰は顕著です。

それに加え人件費も圧迫してます。最低時給金額が目まぐるしく上がっています。

消費者が物価高騰で大変と言っているのですから、同じように飲食店にとっても原材料高騰等は切実な問題です。

とは言え、単に値上げをしてしまうと客足を遠ざける結果になる危険があります。

消費者の心理は理解できるけど・・・

結論として値上げは断行するしかありませんが、工夫して行う戦略が必要です。

先ずは消費者心理から数値を追って考えてみていきましょう。

物価高騰、賃金への消費者心理

消費者心理として物価高騰と賃金がそれに応じて上がっていないとの話をよく聞きますが、どうお考えますか?

近年、日本では物価が上昇する一方で、賃金の伸びがそれに追いついていないとの指摘があります。

以下に、物価と賃金の推移に関する具体的な統計データを示します。​

物価の上昇

総務省の消費者物価指数によると、2025年1月の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は前年同月比で4.3%上昇し、1981年12月以来、約43年ぶりの高い上昇率となりました。

​特に、食料品が7.3%、光熱・水道が14.9%上昇しており、これらの項目だけで全体の物価上昇に約3%分寄与しています。

賃金の推移

厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、2025年1月の名目賃金は前年同月比0.8%の増加となっています。

​しかし、物価上昇を考慮した実質賃金は同期間で4.1%の減少となり、2024年4月以降、実質賃金のマイナス傾向が続いています。

長期的な視点

1991年から2022年までの約30年間で、日本の平均賃金の伸びは約3%にとどまっています。​同期間中、OECD加盟国の平均賃金は約33%上昇しており、日本の賃金上昇率は他国と比較して低い水準にあります。

消費者の感覚

これらのデータから、物価が上昇する中で賃金の伸びが追いついていないことが明らかであり、多くの消費者が生活の厳しさを感じていることが推察されます。​

このような状況を受けて、2025年の春闘では、主要企業が平均5%以上の賃上げを実施するなど、賃金引き上げの動きが見られます。しかし、これらの賃上げが実質賃金の改善につながるかはなんとも言えません。

飲食店の値上げは必要?

飲食店にとって客数減少につながるのは想像できますので、値上げはしたくないですが、そうとも言ってられないのが実情ではないでしょうか。

飲食店経営において、原材料費や人件費の高騰に対応するためには販売価格の適正な調整は必須項目です。10年前と比較するとこうとしているのは顕著です。

原材料費・人件費の上昇率を考慮した価格設定

直近の原材料費の上昇率人件費の上昇率を基に、販売価格の目安を算出してみました。

  • 原材料費:10年前と比較して約20%~40%上昇
  • 人件費:最低賃金が10年間で約30%~40%上昇(地域による)
  • 光熱費:電気・ガス代も約20%~30%上昇
  • 物流費:2024年問題により運送コスト増

📌 適正な価格改定の目安
10%~30%程度の価格改定が妥当と考えられます。


「FL比率」を基にした価格設定

FL比率(Food & Labor Ratio)とは、原価(Food)+人件費(Labor)の比率のこと。 飲食店では売上の55%~65%以内に抑えるのが理想。

  • 例)現在のFL比率が70%超えているなら、値上げは必須
    10%~20%の価格改定が必要と言えます。

競合との価格比較

近隣や同業態の飲食店がどの程度値上げしているかリサーチし、極端に高すぎない適正価格を検討する必要があります。

  • 例)ラーメン店
    • 10年前 → 700円
    • 現在 → 850円~1000円が相場
  • 例)定食(豚生姜焼き定食)
    • 10年前 → 800円
    • 現在 → 950円~1200円が相場

価格転嫁の方法

値上げを直接すると客離れのリスクもあるため、以下のような付加価値を加えて価格改定すると受け入れられやすいように持っていく工夫が必要です。

セットメニュー強化(単品価格を上げるが、セットはお得感を出す)
ポーション変更(量を微調整して価格据え置き or 上昇)
高利益率のメニュー強化(ドリンクやデザートの価格を調整)
サブスク導入(リピーター獲得で単価UP)

まとめると

📌 価格改定の目安は「10%~30%」が妥当
📌 FL比率を55%~65%以内にするよう調整
📌 値上げと同時に付加価値を提供し、顧客の納得感を高める

値上げは避けられないのが実情です。

上手な価格転嫁をすることで客離れを最小限に抑えるようにしていくしかありません。

個人飲食店が消費者心理(「物価は上がるが賃金は上がらない」)に反して値上げをする戦略は、単なる値上げではなく、顧客の納得感を得ながら価格を上げることが重要です。


値上げを「自然な流れ」にする戦略

段階的な値上げ(ステルス値上げ)

いきなり大幅な値上げをすると反発が大きいので、2~3回に分けて値上げする。

  • 例)定食の価格を 半年ごとに50円ずつ上げる
  • 例)トッピング・オプションの追加で単価を上げる(「大盛り+50円」など)

セット販売で実質値上げ

値上げ感を出さずにセットメニューの販売を強化する。

  • 例)「単品700円→750円」ではなく、「セット1,100円(サラダ+ドリンク付き)」を主力に
  • 例)「ランチ限定セット」「お得な2人セット」などで単価UP

価値を高めて値上げを正当化する

食材・こだわりを強調

「単なる値上げ」ではなく、品質向上としての値上げと伝える。

  • 「国産牛100%使用」「無添加スープに変更」「オーガニック野菜使用」など

「高くても価値がある」と思わせることが重要!

ポーション調整で満足感を維持

値上げしても顧客満足度を維持するために、メイン食材の比率を調整する。

  • 例)ハンバーグのサイズを微増し、付け合わせを減らす
  • 例)パスタの麺量を少し増やして、価格UP

「ちょっと贅沢になった」と感じさせる


価格が高くても売れる「プレミアム感」を演出

特別メニューの導入

限定メニューや高級食材を使ったメニューで、価格の基準を引き上げる

  • 例)「プレミアム和牛バーガー 1,500円」 → 通常メニュー800円が安く見える
  • 例)「限定10食!特選寿司セット 3,000円」 → 価格上昇のイメージを緩和

価格が高くても「食べてみたい」と思わせる

店の「ブランド化」を意識

  • SNSや口コミで「ちょっと高いけど美味しい店」と認知される
  • 例)「◯◯さんの卵を使用」「有名シェフ監修メニュー」
  • 高級感のあるメニュー名や盛り付けを意識

「安さ」ではなく「価値」で勝負する


値上げしても通いたくなる「顧客体験」を強化

ファン作り(常連向けサービス)

  • 「値上げする代わりに、こんな特典がある」
    • 例)ランチのドリンク無料
    • 例)LINE会員限定で月1回「サービスデー」
    • 例)リピーターに次回使えるクーポンを配布

「ここなら払ってもいい」と思わせる

居心地の良い空間作り

  • 単価が高くても「この店なら払う価値がある」と思わせる
  • 例)BGM、照明、接客を高級店風に演出
  • 例)カウンター席を減らし、テーブル間隔を広げる

「安くなくても、また行きたい店」にする


📌 結論:値上げは「体験価値」を上げて納得感を持たせる

ただ単に価格を上げると客離れ「価格=体験価値」のバランスを意識

  1. ステルス値上げ(段階的 or セット化)
  2. 品質向上を前面に出し、価格UPを正当化
  3. プレミアム感を演出し、高価格帯に慣れさせる
  4. 常連客向けサービスを強化し、「値上げしても通いたい店」にする

👉 価格を上げても納得してもらえる「ブランド戦略」を取り入れるのが鍵!

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