経営者としての飲食業の難しさ
個人が飲食店を開業しても続かない理由や失敗例は、さまざまな要因に起因しています。
飲食業界に従事していても経営者としては初心者であり、「勤め人で飲食業にて働く」のと「経営者として行う」のとは大きく違う事を開業する前に知っておくのはとても大事だと思います。
経営初心者や初めて飲食業に挑戦するが、多くの方が早期に撤退してます。
失敗する例として以下のような事が挙げられます。
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続かない理由と失敗例
- 市場調査不足
- 理由: 開業前に十分な市場調査を行わず、地域の需要や競合状況を把握しできていない。
- 失敗例: 高級志向の店舗を住宅街に出した結果、ターゲットとなる顧客層が少なく、集客に苦労する。昼間の就労者数が想像以上に少なく日中の売上が伸びない商業圏。このように需要がない場所に供給してしまい売上が伸び悩む。
- 資金計画の甘さ
- 理由: 初期投資や運転資金が足りず、運営が継続できない。飲食店は開業後数ヶ月から1年程度は収益が安定しないことが一般的です。店によっては3年してやっと収益が軌道に乗る場合もあります。軌道に乗るまで耐えられる資金力がないと継続できません。
- 失敗例: 設備や内装に資金を多く投じた結果、運転資金が不足し、日々の仕入れや賃料の支払いが困難になり閉店。
- 価格設定のミス
- 理由: 原価や運営コストを十分に考慮せずにメニューの価格を設定すると、利益が出ないか、逆に顧客が価格に見合わないと感じてしまう。
- 失敗例: 高級素材を使いすぎて、利益がほとんど出ない価格設定になり、採算が合わず閉店に追い込まれる。個人店は価格で勝負すると厳しいです。薄利多売の戦略は大手飲食店が行う手法です。
- 人手不足と労務管理の問題
- 理由: 人件費のコストを削りすぎたり、スタッフの労務管理が不十分なため、スタッフの定着率が低くなり、サービスの質が低下。
- 失敗例: スタッフが頻繁に辞め、サービスの質が不安定になり、口コミで評価が悪化。結果的に顧客が減少。
- 集客・マーケティング不足
- 理由: オープン時の集客が成功しても、その後の継続的な集客対策が欠けてしまう。また、SNSやオンラインでの宣伝に疎い場合、集客力が落ちます。
- 失敗例: オープニングキャンペーン後、集客方法が乏しく、新規顧客を獲得できないため徐々に売り上げが減少。常連客の確保と常に新規顧客獲得は命題です。
- メニューのターゲット層とズレている
- 理由: 自分の好みやこだわりを優先しすぎて、ターゲット顧客層が望むメニューや価格帯になっていない。自分のこだわりが必ずしも市場ニーズと合うとは限りません。
- 失敗例: 健康志向のエリアでジャンクフードをメインにした店を開業し、顧客が来ない。
- サービスやクオリティの低下
- 理由: 開業当初は高いモチベーションでサービスを提供していても、次第に疲労や人手不足でサービスの質が低下。飲食店を軌道に乗せるのは簡単ではありません。場合によって長期戦です。その為の精神力や体力は資金力と同じぐらい必要です。
- 失敗例: 料理の提供の遅れ、味が安定しない、注文ミスなどが頻発すると口コミで悪評が広がってしまいます。
- オペレーションの非効率
- 理由: 店舗運営のオペレーションが非効率で、調理や配膳に時間がかかりすぎることがあります。これにより、回転率が低下し、売上が伸び悩み。
- 失敗例: 調理設備や動線の設計が不十分で、ピークタイムに対応できず、顧客が待たされて不満がたまる。
- 原価管理の失敗
- 理由: 食材の原価を適切に管理できないことで、無駄が多くなり、利益を圧迫します。食材のロスが多い場合、経営に大きなダメージを与えます。
- 失敗例: メニューの多様化により食材管理が難しくなり、廃棄が増加。結果的にコストがかさみ利益が出ない。
対策はあるのか?
会社勤めの時は大きな企業であれば、各部門が分担し行っていた業務を個人で開業となると全て自分で行わねばなりません。
それは想像以上に大変な作業です。
また、個人ではどうしても資本力が弱く、軌道に乗るまで持ち堪えられません。
資本力があればお金で外部へ依頼や雇用でカバーできる事も個人では限界があります。
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その点を理解の上で行うのであれば最低限下記の点に注視する必要があります。
- 徹底した市場調査:地域の競合やターゲット層を事前にリサーチし、差別化できる要素を明確にする。
- 十分な資金計画:初期投資だけでなく、運転資金や生活費も含め最低でも6ヶ月~1年分の資金を確保する。更に言えば、軌道に乗るまで他の収入源を確保できると良いでしょう。
- スタッフの育成と管理:人材育成と労働環境の整備を行い、スタッフの定着率を高める。
- 効果的なマーケティング:SNSや口コミサイトを活用し、開業後も継続的に集客施策を実施。こまめな作業の継続が必要です。
- 原価とオペレーションの見直し:無駄なコストを減らし、効率的な運営体制を整える。個人店ではメニュー数を増やすのは危険です。食材の管理やロスは痛手になります。最大のコストである原材料をどうコントロールするかは経営者の手腕と言えます。
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10年持ち堪えるどころか1年~3年持ち堪えれば御の字なのが飲食店経営です。
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