最低時給の過去最大引き上げ
2024年、日本の最低賃金は過去最大の引き上げ幅となりました。
実に50円増加して全国平均で1,055円となります。
この新しい最低賃金は、2024年10月から順次適用されます。都道府県別では、東京都が最高で1,163円、秋田県が最低で951円となります。
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物価高の流れがあるので、雇用者側としては歓迎ですが、雇用主側としては一層の人件費増加となります。
飲食業界を含め、人手不足でリクルートに苦労している中、更なる難題と言えます。
人材確保に加え、人件費の圧迫となります。
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優秀なアルバイトを採用しようと思えば、より高い時給を設定しなくてはなりません。
そうなると資本力のない個人事業や中小企業は、人手を減らしたオペレーションや商品の販売単価の値上げなどの手段を考えねばなりません。
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過去30年間の最低賃金
過去30年間にわたる日本の最低賃金の推移は、徐々に増加してきました。
◆1990年代: 1990年代の最低賃金は全国平均で500円台後半から600円台に推移していました。例えば、1995年には全国平均が約580円でした。
◆2000年代: 2000年に入ると、最低賃金は600円台後半から700円台にゆっくりと上昇。2007年頃から政府が最低賃金引き上げに積極的に取り組むようになり、2009年には全国平均で約713円になりました。
◆2010年代: 2010年代にはさらに上昇が加速し、2015年には800円を超える平均値となりました。この時期は、特に人手不足や物価上昇の影響を受けて最低賃金の引き上げが進みました。2019年には全国平均で901円に達しています。
◆2020年代: 2020年代はコロナ禍による経済的な打撃がありながらも、最低賃金の上昇は続き、2023年には全国平均で1,004円となりました。そして、2024年には過去最大の50円引き上げが決定され、全国平均は1,055円に到達しています
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このように、1990年代後半から2020年代にかけて、日本の最低賃金は約倍増しています。
40代後半から50代世代の学生時代の最低時給500円台ではなかったですか?
今や考えられませんよね。
地域格差の広がり
日本の最低賃金には地域ごとに大きな格差があります。これは各地域の経済状況、物価、労働市場の状況に基づいて設定されるためです。
2024年の最低賃金では、東京都が1,163円で最も高く、一方で秋田県が951円と最も低くなっています。この差は約200円で、過去の推移と比較しても比較的大きな地域差になってます。
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東京都内でも都市部ですと今や1,500円台の応募時給は珍しくありません。
水商売等でなくても1,800円以上もあります。
当然高い時給に目が行きますので、高い時給を設定できる大手がより有利な構造です。
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また、一層地域格差が広がりつつあります。
その理由として下記のような要因が考えられます。
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◆経済規模: 東京や大阪など大都市圏では、物価や生活費が高いため、それに見合った賃金が設定されます。一方で、地方の経済規模が小さい地域では、物価が比較的低いため、最低賃金も低く設定される傾向にあります。
◆労働市場の需要と供給: 都市部では労働者不足が深刻であり、企業が労働者を確保するために賃金を上げる必要がありますが、地方では労働市場の競争が少ないことから、賃金が抑えられることがあります。
◆競争激化: 東京などの都市部に人が集中してます。とは言え、人手不足の為、他社より高い時給を設定する事で差別化を図っているのが顕著です。
最低賃金の引き上げを通じてこの格差を縮小しようとする動きも見られているようで、2024年の最低賃金改定では最も高い地域と最も低い地域の差が8円縮小されています。
ただ、時給を上げる → 人件費高騰 → 販売価格の値上げ
となるのではないでしょうか。
今後の最低賃金の見通し
今後の最低賃金の見通しは、政府の方針や経済状況に強く依存していますが、以下の点が注目されています。
◆引き続き上昇が予想される: 2024年に50円という大幅な引き上げが決定されたように、今後も最低賃金は引き続き上昇する見通しです。
労働力不足やインフレに対応するため、政府は最低賃金の更なる引き上げを進める方針です。特に都市部では、労働者の確保や生活費の高騰を背景に、最低賃金の上昇圧力が続くと考えられます。
◆「1,500円」の目標: 一部の労働団体や政策提案では、最低賃金を「1,500円」に引き上げることが議論されています。
これは生活費の上昇に対応し、生活保護水準を下回らない賃金を目指すためです。政府も今後数年以内に全国平均で最低賃金1,200円を超えることを目指しているとの報道があります。
◆地方との格差解消: 最低賃金の地域格差を縮小する取り組みも強化されると見られています。
東京や大阪などの大都市と地方の格差が依然として大きいため、地方の最低賃金を積極的に引き上げ、全体的なバランスを取る方針が進められています。
◆中小企業への影響: 最低賃金の引き上げは中小企業への負担が懸念されています。賃金コストの増加により経営が圧迫される可能性があり、特に地方の企業は影響を受けやすいと考えられています。
今後の最低賃金の推移は、経済状況や政府の政策に依存しますが、少なくとも短期的には上昇が続くと考えられています。
時給に加え、有給等の福利厚生も今ではアルバイト応募の際、大事なチェック項目です。
働き方の変化により、正社員ではなく働く場合に福利厚生がしっかりしているか否かはとても大事ですからね。
ただ、個人事業主が高い時給に加え、手厚い福利厚生を用意するのは簡単な事ではありません。
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